４２・電脳小品
現にこうしてあなたが読んでいる雑文はウェブサイトに記載された文章であるし、今ではインターネットがすっかり生活に入り込んできて、ラジオでもＵＲＬアドレスを聞くことがある。
「……ティーエフエム・ドット・エヌイー・ドット・ジェーピー」
なんて言われるとエフエム東京だなとわかるが、先日はこういうのがあった。
「……ダブリューダブリューダブリュー・ドット・エイエスエイエイチアイ」
朝日ネットかな。
「ダッシュ・エヌイーティー・ドット・オーアール」
おい。ダッシュというよりハイフンと言わないか。
「ピリオド・ジェーピー」
なぜ急にピリオドになる。
「スラッシュ・チルダ・エービーゼロ・ダッシュ・スィーディーイー」
スラッシュはともかく、チルダがわからない人も多いと思うぞ。しかも「スィー」にこだわりがあるし。きっと「チーム」も「ティーム」と言うのであろう。
「スラッシュ・オーアイエスアイアイエムオーエヌオーケーユーアールエービーユー」
長すぎるって。ラジオで聞いてわかるかこんなもの。しかも最後の６文字は「kurabu」ではないか。ローマ字はよせローマ字は。
「スラッシュ・アイエヌディーイーエックス・ドット・エイチティーエムエル」
「index.html」なら省略させてくれ。たぶんこの片仮名は読者も読み飛ばしているぞ。
ラジオだけでなくホームページそのものにもそれはちょっとという記載がある。
「みつ子ママの家庭園芸ホーラム」
ホーはないだろう。それがいいなら「ホーマット」「ホーメーション」「セイントホー」もありだ。肉を突き刺す食器と鷹の区別もつかなくなるし。「ホートラン」では踊り出してしまう。やっほー。「あぶない刑事」もホーエバーだぞシンジくん。
またパソコン通信で、節約を話題にしたホーラム、いやフォーラムがあるのだが、いかにして水の使用量を減らすかという話題になった。
「食器は朝昼まとめて洗う」
「蛇口を流出量の少ないタイプに替える」
「朝のトイレは家族全員分をまとめて流す」
「水洗トイレのタンクにペットボトルを入れる」
「水洗トイレのタンクにペットボトルを入れると故障の元と聞いた」
「水洗トイレのタンクにペットボトルを入れると故障の元と聞いてやってみたがうちは大丈夫」
お母さん、まとめて便を流すのは、家族に嫌がられていないか。
しかしとどめを刺したのは次の書き込みである。
「私は公園で水を汲んでいます。毎朝ポリタンクを持って散歩に行ったついでに、水飲み場から汲んできます。これでずいぶん水道代が浮きます」
犯罪だぞそれ。しかもどこが「ついで」なのだ。ポリタンクを持参していたらそれが目的ではないか。犯罪と言えばこういうのもある。
「買い物をしてお釣りを多くもらったら、黙っています。間違えたのはあちらの責任ですから、いいのです」
断言するなっ。そもそも店で物を買うのは一つの契約なのである。「これください」と言うのは「私は金五千八百円カッコ税別を支払うから店員はそこにある『LOVELYメイド』なる名称の美少女が恥じらいつつ脱いでいくソフトウェアを譲渡したまえ」という契約を交わすことだそうだ。「お客さん、ポイントカードがいっぱいになりましたよ」「ラッキー」って何本買ったのだ。しかもメイド物ばかり。
それは私個人の話だが、職場にも出入りの業者さんが来て、パソコンに疎い私たちの代わりにネットワークの管理をしてくれている。その業者さんから職場にメールが来た。
≫ 先般、ウィルスに対する警戒のメールを受け取りましたので、お
≫ 知らせ申し上げます。
≫ 情報の発信元はＩＶＭです。インターネットにアクセスするあらゆ
≫ る皆様にご連絡下さい。
≫ ■ ＩＶＭ 発信
≫ もし「PENPAL GREETINGS!」というタイトルの付いたＥ−ｍａｉｌを
≫ 受け取った方は、読まずに消去して下さい！
≫ これはすべてのインターネット使用者への警告です。
≫ 危険なウイルスが「PENPALGREETINGS!」というタイトルの付いた
≫ Ｅ−ｍａｉｌを介してインターネット中で増殖しています。
……私は、これがデマメールだということをご連絡してあげたい。それよりネットワークの管理は大丈夫なのか、うちの職場。