ポーシャは明日郡山の友達に行くかどうか迷っている。私に会ったことで「クルマに乗ったら楽だなあ」ぐらいは考えていることであろう。スージーからも「スマホ買ったなら節約のためにもクルマで行けば」とチャットが来ている。
「いいよ、電車で郡山にいけよ。約束したんだろう」
私も大学時代、友達の実家の北海道や長野、富山で遊んだ思い出がある。二三時間郡山を見物するだけでもいい、夏の思い出を作ってくるがいい。
すっかり暗くなって大学到着。「野菜預かって」 なにそれ。
「食べきれなかったの。じゃがいも。キムチもある」
クーラーボックスを持ってきてよかった。ポーシャとはここでいったんお別れ。
春と同じ某道の駅へ。500mlロング缶二本。
朝。ゆっくりドライカレーおむすびを食べる。四月はマックスコーヒーを買ったが、今回は水筒のポカリスエットがまだあるので見送り。
ナビを郡山駅にセットする。思ったより早く着く。どこか行こう。「郡山市立美術館」「あぶくま洞」 これがいい。ちょっと東に離れるが、郡山までは一時間ほど。
東北自動車道を走る。埼玉。菖蒲PA(パーキングエリア)で東京ばな奈を買う。スージーにお土産。東京ばな奈ドラえもんバージョンに惹かれるが、ちょっとだけお高い。
栃木。飽きた。申し訳ないが栃木のドライブは苦手である。延々同じ景色が続く。コンクリートの壁から緑がはみ出るのが見えるだけ。栃木はいいところなのだろうけれど、東北道は退屈。ああマックスコーヒーを買っておけばよかった。
那須高原SA(サービスエリア)で給油。リッター197円ですよ。御用邸チーズケーキがおいしそうなので購入。1,580円。旅テンションでないと買わない値段ですね。
あぶくま高原道路は260円の通行料金がかかる。ETCでなく係員に現金払いをする。しかし前に妙なトラックがいてそいつが遅い。60km/hくらいではなかったか。一車線なのでどうしようもない。高速じゃないよう。後ろに行列ができる。ようやくトラックは曲がってくれたが、ダブル連結トラックであった。初めて見た。
あぶくま洞へ。小さいお子さんが多いので「外したかな」と思う。一般コースと探検コースがある。一般コースが1,200円、300円追加すると探検コースという遠回りができるのだという。すべて回って50分くらいなのでポーシャにも間に合うであろう。ちなみにJAFアプリを見せると200円割引でラッキー(そういうことでいい気分になります)。
中に入る。気温は通年15度というのがありがたい。うわ。これが鍾乳洞。テレビで何度も見たが、自分が閉空間に入るということはなにか神経を解き放つような不思議な体験だ。神経を解き放つってなんだ。珍しい形の岩。垂れ下がる鍾乳石。そびえ立つ石筍。灰色のような、緑色のような、不思議な色。すっかりとりこである。
分岐に来た。おじさんに「探検コース」のチケットをもぎってもらう。私の腰のあたりに腕を突き出して「天井がこんなに低いところがありますから気をつけて」。しかし一日中洞窟の中にいる仕事も大変ですね(交代制かもしれないけれど)。
ちょっと歩くと奇岩、ちょっと歩くとアスレチックコース。しゃがみ歩きをする通路や両手で手すりを握って降りる階段などがある。洞窟探検大興奮。しかし脳裏では「ここでスマホを落としたら終わりだな」と思う。皆様にはぜひスマホストラップの着用をお勧めします。
郡山駅でポーシャと合流。駅前ロータリーには「乗り降りのみ 人待ち禁止」という看板があり、取締係がうじゃうじゃいた。
「サイゼリヤでナポリタンを食べた」 スパゲッティ好きだな。
大学の話をする。「夏休みにイランに行っている人がいるんだよ」
「1年の冬か2年のときにショービジに行きたい」
「ショービジネス? ハリウッド的な?」
「ショートビジット」
「交換留学するとたいていは留年する。だから4回生の3年生、という言い方をする」
留学、本気だ。1年の冬なんてあと半年もない。
私はお昼を食べていない。SAで地元の美味しい名物を食べよう。「K楽苑」
「チェーン店だあ」
焦る。福島から山形自動車道へ分岐する。山形道に入るとSAもPAもない。四月の帰り、私はお昼ごはんにありつけなかった。新潟では「まだ早い」と食べなかった。山形では高速を下りる踏ん切りがつかなかった。判断ミス。今はポーシャがいる。
「よし、山形で一番うまいラーメンを食べさせよう」 山岡士郎のようなことを言ってハンドルを切る。酒田の三曰月軒。昔ながらの中華そばだ。山形に近い町で働いていたときに、何度か食べたことがある。ナビ検索。三曰月軒はいくつもある。近いのはどれだ。
「これじゃない?」とポーシャがナビの「距離順」ソートボタンを押した。頭いいな。この「距離順」機能は私のお気に入りになった。
さて到着。「閉店」
ポーシャがスマホを操作する。「どこも閉店だよ」
いやせめて道の駅ふらっと鳥海で「ラ・フランスソフトクリーム」を食べよう。
「閉店」